第19回

賢順記念くるめ全国箏曲祭

全国箏曲コンクール

平成24年12月2日(日) 9時30分開演 会場:石橋文化ホール

スケジュール

  • 全国筝曲コンクール 9:30~  
    • 9:30・・・開会宣言
    • 9:35・・・コンクール出場者演奏
  • 昼休み:13:10~13:55
    • お筝に触れよう!(体験無料)・筝のいろいろ展示・筝の製作実演
  • 特別演奏会 14:00~15:20      
    【第1部】善導寺ことクラブ
    「雪人形の夢」作曲:大嶽和久

    善導寺ことクラブ

      
    【第2部】中村学園女子高等学校
    「北国雪譜」作曲:長沢勝俊

    中村学園女子高等学校

      
    【第3部】
    (生田流)砂崎知子、高畠一郎
      「水の変態」作曲:宮城道雄 (解説は下段に
    (山田流)宮下伸
      「三十絃独奏のための今様」作曲:宮下伸 (解説は下段に
    コンクール審査発表・表彰式 15:30~16:20        
    表彰式        
    開催市長・来賓あいさつ        
    審査発表・表彰        
    講評:小島美子        
    賢順賞受賞者演奏

賢順賞:高木 理恵(大阪府大阪市)

賢順賞:高木 理恵

受賞者の言葉:「ご指導頂いている先生は、普段はとても厳しいですが、昨夜も隣で休んで下さるなど、本当に優しくてお世話になりました。感謝の気持ちで一杯です。

自分が一番最後でしたが、出場者の方たちはすごくお上手なので、その演奏に気を取られないようにしていました。会場の皆さんの暖かい応援で落ち着いて演奏ができたのだと思います。
先生のために感謝の気持ちをこめて、記念演奏をします。ありがとうございました。」

記念演奏:高木 理恵 「情景三章」(作曲:沢井忠夫)

記念演奏:高木 理恵

銀賞(福岡県知事賞)

銀賞・県知事賞:木原 朋子
木原 朋子(広島県広島市)
「火垂る」(作曲:沢井忠夫)

銅賞(久留米市長賞)

銅賞・市長賞:武藤 宏司
武藤 宏司(東京都墨田区)
「三つの断章」(作曲:中能島欣一)

奨励賞

奨励賞:日原 暢子
日原 暢子(東京都世田谷区)
「幻想曲」(作曲:松村 禎三)

奨励賞:永池 あかり
永池 あかり(東京都武蔵野市)
「尾上の松」(原作者不詳・宮城道雄 箏手付)

奨励賞:市野川 かおり
市野川 かおり(岩手県花巻市)
「箏のための(アラベスク)」(作曲:吉岡 孝悦)

岸邉成雄賞(若く表現に意欲的な人に贈られる)

岸邉賞:佐竹 真生子
佐竹 真生子(岡山県岡山市)
「射影」(作曲:沢井比可流)

審査員(50音順)

菅野 由弘:
作曲家
早稲田大学教授
小島 美子:
国立歴史民俗博物館名誉教授
砂崎 知子:
生田流箏曲演奏家 
原田 亮一:
国立劇場芸能部第二制作課
宮下 伸:
山田流箏曲演奏家

小島美子氏による講評(要旨)

上位の賢順賞から奨励賞まで、聴いたときの印象よりも点差がありました。
賢順賞の高木理恵さんは、とてもアピールが強いということで審査員の先生達は、とても良い点をつけておられましたが、私は、強い音が力みすぎでちょっと固く感じました。

参加者全体で問題になったのは、やたら速く動かしている印象があったことです。
特別演奏された先生方は、とても粒がそろったパッセージを見事に演奏されましたが、ただやたらに速く指を動かすことだけではありません。それ以上に大切な事は「何を皆さんに訴えるか、この心の問題がある。」というのが先生方の意見です。

これはみなさん大いに考えて演奏して下さい。

また、古典曲を演奏した人が一人だけ、男姓がたった一人だけだったことは非常に残念でした。

現代曲の基礎には古典がなければなりません。古典の技法と心をしっかり身につけた上で取り組んでください。

今回、賢順祭も19回になりましたが、どんどんレベルが上がってきたとは言いにくいところがあります。
どうぞ、来年も頑張っていらして下さい。

***(敬称略)***

「水の変態」作曲:宮城道雄

宮城道雄の代表曲の一つ。14歳(1909年:明治42年)で作った初めての曲です。彼の一家は朝鮮の仁川に住み、目の不自由な少年は家計を支えるために箏を教えていました。

彼がお師匠さんについていた時期、まだたくさんの曲を習えず、もっと曲が欲しいと作曲を始めた最初の曲です。弟の読本にあった「水の変態」にひと月かけて作曲されています。「水」が霧、雲、雨、霰、露、霜と変わっていく七つの状況、それぞれの情景をリアルに、聴くように作られています。

彼はその後「春の海」のような曲を作った晩年に至るまでに多くの作曲をしましたが、途中の頃の作品よりもこの曲はぐっと胸にくるものがあります。
宮城道雄は東京に来て、いろんな人から洋楽の影響を受けますが、現代的な新しい洋楽を知っていた山田耕筰さんなどから習っていればもっと幸せでしたが、まだ古典派やロマン派のような洋楽しか知らなかった方から習ったので 箏曲で新しいスタイルを作ろうとするのには無理があり、現代の曲として、芸術作品として見るとちょっと物足りない、違うかなと思うものがあります。

それに対して、この「水の変態」は洋楽の影響をまったく受けず、伝統的な箏の技法だけで作られた描写的な表現が、むしろ非常に新鮮なのです。


「三十絃独奏のための今様」作曲:宮下伸

九州で初めて演奏される三十絃です。
現在、低音用の十七弦、二十絃、二十五絃がありますが、三十絃は音の範囲が広い最も大きい楽器です。
宮下先生のお父様、鋭い感覚の持ち主だった初世、宮下秀冽さんが箏の音色を持っているが、低音から高音までもっと広い音域を使いたいと今の三十絃の形を作られ、息子さんの宮下伸さんが改良を加えられたものです。
宮下伸さんの箏の音色は日本一といえるほど美しい音色の持ち主です。
「今様」というのは現代風ということです。


三十絃箏
当日展示されていた三十絃箏(神谷舞さんから頂いた画像です。)

解説をされた小島先生の語り口、普段、邦楽に触れる機会が少なくても、一つ一つ分かりやすく教えていただけることが、毎回この会場に来ることの大きな楽しみの一つになっています。

若い人の姿が少ないのは本当に残念ですが、参加者が自分自身と闘って練習を重ね、予選を通過した25人が競うという、真剣勝負の場、これだけの演奏を聴ける機会はなかなかありません。
だからこそ、空席の活用を兼ねて、児童・生徒の音楽鑑賞の機会に利用できないかといつも思います。

文責:くるめんもん・中島

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参考資料:「第19回賢順記念全国箏曲祭」パンフレット

kurumenmon.com