「生きるあかし・詩の叫び」

いじめで心に傷、中島君が詩集

愛なんてもういらない
それほどブチのめされた
深く・・・見えることのない傷
僕の心はスレてきた
泣いてばかりでは進歩はない

小学校時代に体験したいじめで精神的に病んだ3年中島崇順君(18)が詩を書き続けている。
月一回登校し、授業を受けるが、十分には理解できず、卒業できる見通しは立っていない。
担任教諭に詩を見てもらうことが「生きていることのあかしになっている」という。
大学ノート30冊に書きためた詩は1800編。10編を選んで初めて詩集「あてのない心の旅」にまとめた。

中島君は現在、四日市市の病院に入院している。
人込みに行くと息が苦しくなる。薬の副作用で体が震えることもある。中学生のころ、症状が出始めた。
原因の一つは、いじめだという。小学1年のころから始まり、6年まで続いた。
太り気味で、顔が大きく丸かったので「おまんじゅう」というあだ名が付けられた。転校してきたばかりでからかいの対象になった。ある時は同級生から口の中に砂を入れられた。本が好きで、授業で難しい言葉を発言すると、それもいじめの対象になった。
中学を卒業した時、「病院にこもるより、外に出た方がいい」という主治医の勧めで高校の通信制進学を決意した。
高校でも精神病院に入院している生徒を受け入れるのが初めてだったので議論になった 反対意見もあったが、「学びたい人はだれでも受け入れればいい」という判断で入学が決まった。
詩を書き始めたのは13歳の頃、父親の本棚にあった、「山田かまちの詩集」を読んだのがきっかけになった。夭折した少年の自身を見詰める姿勢に心を揺さぶられたという。
詩集は病院の作業療法の一環で、自分でワープロを打って仕上げた。病院や学校の文化祭で100部ほど配った。
1日1編。調子がいいと5編ぐらい。夜、静まり返った病院の食堂のテーブルにつくと、色々な言葉が浮かぶ。
それをメモ帳に書き留め、イメージが固まったら大学ノートにつづる。

僕の心はスレてきた
泣いてばかりでは進歩がない
そう思って自分で生きようとしたけれど
今の僕にはまだ無理
翼の折れた鷹さ

詩を読み返すと胸が苦しくなる。将来への不安を率直に吐き出しているからだ。
でも書きたい。「僕のような人間もいるんだって、みんなに知ってほしいから」
詩ができると、真っ先に担任の庄村教諭に見せる。庄村さんは月1回、病院を訪れ、多い月は60編近くに目を通す。詩のいくつかは学年通信で紹介する。

ある女性が言った
幸せって何かしら」と
そしてすぐに私の中でだれかが叫んだ
「いきることだよ」と(中略)
悲しいねつらいね だけどそう思ってたら本当にそうなるよ
生きている限りは きっと幸せなのだから

心がこおっていく
さびしさがあるから
とてもさむいのさ
誰かがいれば
あたたかさが生まれる
ふしぎなこと
さびしさのこおりがとけてゆく
あったまろ

母親は言う。たぶん卒業は難しい。でも同年代の子たちと同じように高校に通っているんだ、という思いが生きるあかしになっている」これまでいじめられることが多かった上、精神的な面でうまく生きられなかった。もう一人の自分がどうして普通に暮らせないのだろうと冷静に見ている。その葛藤があるみたいです。詩を書くことで、「こんな自分を認めて欲しい」と、小さな穴の中から外に向かって大声で叫んでいるようです。
中島君の夢は「詩人になりたい」だ。

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生きる勇気を与えたい

中島君の話

詩を通して自分の価値を認めて欲しい。
僕の心にはいつも、将来に対する「大きな不安と小さな希望」がある。
でも、僕の詩を読んでくれた人には、生きる勇気を与えたいと思う。
将来はぜひ詩集を本にして、出版できればいいと思っている

高校通信制の教頭の話

中島君は「なぜ自分は生きているんだろう」という疑問を持っているようです。
しっかり生きられない自分を見つめる、もう一人の自分がいる。
「僕は生きているんだ」と詩を通じて叫んでいるようです。
彼の詩を読んでいると、ムンクの「叫び」を思い出す。彼の心が飛び出してきそうな感じがする。

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