

第13号
平成8年
(一九九六)5月15日発行
*********************************************
|
個人歌集(短歌)はあまり読まない。自分もときおり投稿するから、新聞の投稿入選作には毎日のように目を通すが、どうもくらい歌が多いように思う。常連の入選者は老人が多いせいでもあるか、老・病・死の嘆き節みたいな歌が目立つ。作歌力はあるから、どうしても彼らの歌が入選してしまうのだが、うんざりする。また、この人のこんな歌かと思ってむかつくのである。これはまさに老害・・・というものだ。 ********************************************* この人が歌を作ったら、どんな歌が・・・
|
|
| 老い二人にこんな老後が有るなんて 梅ふふむ庭に鶯も鳴く (平成五・二・一三 毎日歌壇)沼津市・木村哉芽 |
一切れの白菜漬けに満足しかくも たのしきひとりの暮し (平成五・二・一二 読売歌壇)串間市・山崎百合子 |
| 散らかしてそのままに寝る気楽さよ 老いの二人のたつき咎むな (平成三・七・六 毎日歌壇)所沢市・浅野広三郎 |
老い母は白装束を縫ひ終えて心整へ惑いも見せず 杉浦康代 |
| 紅白の餅見て婆さん呟けり生まれ変らにゃねえ爺さん (読売歌壇) 益田市・岡崎定信 |
算盤の音に心はなごむなりこの歳までを生きてうれしき (平成五・十一・二十 毎日歌壇)名古屋市・伊藤 育 |
| 病みがちの妻の機嫌のよき今朝の パンこんがりと焼き上がりたり (平成六・十・一七 読売歌壇)筑紫野市・井崎辰巳 |
七十の手習とこそ人は言へ我には楽 し少年のごと (平成三・六・二十九 毎日歌壇) 伊予三島市・大西研一 |
| 今宵また妻と二人で飲む酒に頼もし 妻の憂国の弁 (平成六・七・二十六 読売歌壇) 三好英治 |
古稀すぎて友は離島に移り住む自ら 選ぶ単身赴任 (同 同) 東京都・富田康臣 |
|
わたくし香櫨亭主が抜き書きした、老いを詠んだ短歌はまだまだたくさんある。いつかまた紹介したい。 ********************************************* |
|
わがこころの風景 <5> |
|
![]() ![]() ![]() |
左の写真三枚は、いずれも三十年ほど前に八女市で撮ったものだ。 上から順に、
そのころ、八女市とその周辺地区では、こんな、ビビッドで、野性味豊かな棟飾りがふんだんに見られたものだ。ダゴ棟と呼ばれていたが、国内でも類を見ないユニークな存在として広く知られていた。 こんな棟を作るのは大変だった。屋根葺職人の手間賃が普通の葺き方の三倍かかった。 それをあえてするのが、家主の見栄であり誇りでもあった。 やがて、屋根にはトタンが掛けられ、ダゴは姿を消した。そして八女の民家は活気を喪失していった。 それでも、いまなお、ダゴ棟はわたしの脳中で犇いている。
|