東光寺の本尊(御井)

今から900年ぐらい前、高良山14代の座主・安邏僧都に実邏ち言う学徳申し分のなか、しかも情深かお弟子さんの居らしゃった。
ある時布教ばすまして筑後川ば舟で帰って来よったら「俺ば水からあげてくれ」ち言う声ん何べんも聞えち来る、実邏は空耳ぢゃろち思うとった。舟ん者なエズかったが、もうすぐ岸に着こうかち言う時又「あげてくれ」ち水の底からはっきり大きな声ん聞えた。
不思議に思うて、川ん中ばよう見たら仏さんの見えたもんぢゃけ、今んとはこん仏の声ばいのち、すぐ川に入って抱え上げち高良山に帰って座主にお話しした。「おまいが情深かけ仏がお頼りなさったっぢゃろう、大切にお祀せろち座主が言わしゃったけ、岡に草葺きの小まか庵ば立ててお祀りした。こりが東光寺の始めげな。

※ふるさと御井2 58


訳)

今から900年くらい前、高良山14代の座主・安邏僧都に実邏という学徳申し分のない、しかも情深いお弟子さんが居られた。ある時、布教をすませて筑後川を舟で帰って来る時「俺ば水からあげてくれ」と言う声が何べんも聞えてくるが、実邏は空耳だろうと思っていた。舟の者は怖がったが、もうすぐ岸に着こうかという時に、又「あげてくれ」と水の底からはっきり大きな声が聞えた。不思議に思って、川の中を良く見ると、仏様が見えたものだから、今のはこの仏の声だったのだと、すぐ川に入って抱え上げて高良山に帰って座主にお話しした。
「おまえが情深いから仏がお頼りにされたのだろう、大切にあつかえ」と座主が言われたので、岡に草葺きの小さな庵を建てて安置した。これが東光寺の始めだという。

高良山茶屋「望郷亭」
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